2010年 11月 04日
L'exposition de WILLY RONIS |
(写真ひどいけど、画像がなかなかUPできず。。。そのうち)
風邪の治りかけで弱っていたこともあり、「スポーツの秋」から「文化の秋」に移行しつつある今日この頃。「ロニスの見つめたパリの自由」って、また古き良きパリ、Doineau とかCartier Bressonとかあの類だろう。。。と高をくくり、全く見る気がしていなかったのでありますが、今回は慢心気味のわが身に喝を入れてやりたい。祇園の何必館・京都現代美術館にて。
というのも、現在、京都にいるパリ人から「WIILLY RONISって知らなかったけど、誘われて見てみたらすごく良くて、不思議なことに京都で再発見だよ。図録も買った」とのことで、「そうなの?」と結構、彼の趣味を信じているので(合うというのか)、行ってみたわけです。
最初の一枚から氏の世界に引き込まれ、時々垣間見えるユーモアに、戦前戦後のまさに古き良きフランスの豊かさが感じられ。。。あ~、コレだった。私がずっと夢見たフランスはまさにコレ! なんだか自分の置いて来た世界に引き戻されたような居心地の良さを感じ、胸がほかほか温かくなったのでした。なんと健康的で誠実、ウィットに富んだ世界でしょう。
やはり彼は、Henri Cartier BressonとRobert Doineauの親友で、3人とても仲が良かったようです。「フランス芸術文化大賞」「レジオン・ドヌール勲章」を受賞しているくらいだから、実は実力派。でも、パリ人さえ知らず(少し年配のパリ人に聞いたら「もちろん知ってる」とのことで、世代の差もあるのでしょう)、多分多くの日本人も彼を知らず。。。「用心深く、誠実であるままに人生の道を進まなければならない」という思いと共に生涯を貫き、実際、とても謙虚な人柄だったようです。こういう芸術家の作品こそ、紹介してほしい。どうして売れてる作家ばかりを取り上げるのか。。。もちろんいろいろと問題はあるのはわかるのだけど。
図録を買おうか迷ったけれど、展覧会にはなかった、彼自身の言葉が散りばめられていて、それがとても良かったので購入しました。
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写真家はフォルムを気にするが、黄金分割の定式でファインダーを見るわけではない。直観によって構成し、感覚によって導く。指示されたイメージは心で抑揚づけられた幾何学である。
戸外は舞台、偶然という名の演出がある。偶然は時折、天才だ。
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などなど。。。
近頃、安易な生き方本や、How to本、ビジネス書(まぁ、読んだ方がいい場合もあるけれど)などが巷にあふれ、そして脳科学本も。。。合理的が良し、なんだか偶然や直観が入るすきがないような世の中になってしまったような気がして。。。それでも、私にはまだ「偶然」や「直観」を信じたい思いがあり、彼が代弁してくれた思い。なんとなく。。。な、「無意識」の余白を残しておきたい。
そして、何必館館長・梶川芳人氏の「自由」に関する文章に共感したこともあります。
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我々日本人は、自由を制度的に取り入れ、公的、社会的、経済的自由を次々に与えられてきた。が、そうした外的自由に心を奪われ、内面にある自由の契機を見失ってしまったように思う。その結果、現在「自由」の動脈硬化が梗塞状態に陥っている。ロニスのような、地にあしのついた自由から見れば、私たちの自由は与えられた自由であり、独り立ちできないものなのではないだろうか。
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我を省みさせられながらも、心地良く精神が解き放たれるような展覧会でした。
何必館・京都現代美術館
http://www.kahitsukan.or.jp/frame.html
by kyokahori3
| 2010-11-04 16:20
| 展覧会